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Dialogue

シゴトとシネマ Vol.28 素敵眼鏡 MICHIOさん

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2025.03.12


映画との出会いはいつも偶然で、何気なく観た映画が、人生の一本になったりする。【シゴトとシネマ】では、仕事や生き方に影響を与えた、働くことの原動力になっている映画とエピソードを教えていただきます。今回は、横浜にあるヴィンテージ眼鏡屋 素敵眼鏡 MICHIOさんの人生を揺るがせた映画と、仕事への想いをご紹介。


――働くことの原動力になっている1本の映画のタイトルを教えてください。

『ラッキー』
監督:ジョン・キャロル・リンチ

――作品との出会いやきっかけを教えてください。

もともと、『ラッキー』で主人公を演じたハリー・ディーン・スタントンが出ている『パリ、テキサス』が好きだったんです。『ラッキー』は彼の遺作だったので、日本で公開することを知って観に行ったことがきっかけでした。物語はもちろん、舞台となっているアメリカの南西部、カリフォルニアやメキシコあたりの雰囲気も本当に好きだったので、この1本を選びました。

――好きな映画は『パリ、テキサス』だけど、働くことの原動力となっているのは『ラッキー』だったんですね。

はい。2023年に公開したヴィム・ヴェンダース監督の『PERFECT DAYS』 もすごくよかったので悩みました。『PERFECT DAYS』も日々の日常を描いていて、役所広司さんの演技もすごかったし、繰り返す日常のミニマル感みたいなところが響いたんです。その要素は『ラッキー』にもあって。信念を持って頑固に生きることや、日常を素敵に生きることとか、『PERFECT DAYS』を観たときにも『ラッキー』のことを思い出しました。

――そんな中で『ラッキー』を選ばれた理由は何だったのでしょうか?

ハリー・ディーン・スタントン演じるラッキーの生き様ですかね。突っ張るというわけじゃないけど、意地を張る素敵さみたいな。ラッキーは頑固じじいで曲者なんだけど、自分の場所を築くことができていて、周りのみんなも彼のことを実はちゃんとわかっている。その関係性もすごくよかったです。

――素敵眼鏡ではヴィンテージの眼鏡がたくさん並んでいますが、MICHIOさんがヴィンテージの世界に惹かれたきっかけを教えてください。

もともと、アメリカのカルチャーがすごく好きだったんです。親の仕事の関係で、生まれて5か月してから5歳ぐらいまでサンフランシスコ近郊に住んでいたので、意識しない内にアメリカのカルチャーが自然と根付いていました。学生の頃古着を好きになってから、アメリカの西海岸系のものにも惹かれていって、どんどんヴィンテージの魅力にハマっていきました。

――そこからなぜ眼鏡屋さんに?

映画でおしゃれな眼鏡をかけているおじいさんが映画に出てきたときに、「かっこいい」と思ったのがきっかけです。ファッションが好きで古着屋で働いてたこともあり、眼鏡に興味を持ちました。

――映画がきっかけだったんですね。

古着屋時代からヴィンテージの眼鏡があるのはもちろん知っていたんですけど、映画をきっかけによく調べていくと、自分が昔古着にハマってディグしていったときのワクワクを感じたんですよね。その感覚がすごく楽しくて、そこから調べて買ってを繰り返して、徐々に眼鏡の方へと移っていきました。

――ヴィンテージの魅力ってどんなところにあると思いますか?

洋服だと、形ですね。今のトレンドって全体的に洗練されてスタイリッシュになっているんですけど、昔のアイテムは形が少しオーバーだったり、ちょっと不細工だったりして。でもそれが着た時にすごく味が出て魅力的に着れるんですよね。

――なるほど。時代や場所を超えて同じかっこよさに惹かれたと考えると面白いですよね。

そうですね。自分が興味を持って海外から買い付けてきたものが、日本で売れるのは面白いです。すごく粋なことだなと思います。

――オリジナルの眼鏡もプロデュースされていますが、映画からインスピレーションを受けることはありますか?

もちろんあります。例えば、デザインを作り込んで洗練させていくとバランスは取れるかもしれないけど、ありきたりになってしまうんです。オリジナリティのあるかっこよさを出すために、ちょっと平面的にしたり、あえてダサくしたり。そのバランスを映画から取り入れたりしています。僕のものづくりにすごく影響していますね。

――俳優の大森南朋さんやミュージシャンの柴田聡子さんなど、さまざまな方ともコラボレーションされていますよね。誰かとものづくりをする上で心掛けていることはありますか?

みなさんの魅力や才能を裏切らないようにフルスイングでつくらないと、と思っています。ものづくりをすることはすごく刺激的なことなので、伴走しながら「頼んでよかった」と思ってもらえる仕事をしていきたいです。


――MICHIOさんにとって、映画ってどんな存在なのでしょうか?

何かと繋げてくれたり、自分の感覚を広げてくれたりするものですね。映画を観ると、あるワンシーンの景色や音楽が記憶に残ることが多いんですが、映画を観て感じたことには嘘がないから、僕のなかでは古着や眼鏡、音楽やお酒と近い感覚があります。僕の血となり肉となるものです。

――映画に助けられた経験ってありますか?

映画を観て、「これでいいんだ」って思えて救われることはあります。映画に出てくる人の感情の動きや表情を見て、感情移入してグッとくることも多いですね。

――今回選んでいただいた『ラッキー』の主人公も魅力的なキャラクターですよね。

そうですね。繰り返す日常のなかで、ラッキーのように“粋”でありたいと思うようになりました。自分もかっこよくありたいし、人からもかっこよさを感じたいし、みたいな。粋なラッキー、頑固なラッキーにとても魅力を感じています。

――では最後に、働き方で大事にされていることやこの仕事のやりがいを教えてください。

夢とロマンですね。これまでずっと好きなことに携わる仕事しかしてこなかったんですけど、その分古着やヴィンテージアイテムに関しては知識や経験があります。それらをたくさんの人に紹介していって、喜んでもらえることはすごく嬉しいことです。


素敵眼鏡MICHIO

横浜市中区海岸通1-1ジャパンエクスプレスビル2F
13時〜19時水曜日定休
Instagram:@sutekimeganemichio

photo:Natsuko Saito(@72527n)
interview&text:Sayaka Yabe

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