メインセクションへ
Dialogue

「たった一人だけが持つ、その人だからこその重要性」キム・ダミ主演『ソウルメイト』ミン・ヨングン監督インタビュー

  • #インタビュー
  • #監督
  • #韓国
  • #映画
2024.02.19

Do it Close-upは、Do it Theaterが今気になるシアターカルチャーをクローズアップしてお届けする企画。今回は、ドラマ「梨泰院クラス」のキム・ダミが主演を務める映画『ソウルメイト』(2024年2月23日(金)より公開)のミン・ヨングン監督にインタビュー。演出のこだわり、今作に込めた想いについてお伺いしました。

story

公募展で大賞に選ばれた「作者・ハウン」という記載だけで応募された絵画。そこに描かれていたのは、高校生のミソだ。ギャラリーの担当者から、ハウンとコンタクトを取りたいと連絡を受けたミソだが、ハウンとは幼い頃に遊んだだけの仲だと語る。ハウンのブログにはミソとの深い関係が綴られているにも関わらず…。

ミソとハウンは小学生からの大親友。性格も価値観も育ってきた環境も正反対だが、唯一の共通点は絵を描くのが好きなことだった。ずっと一緒に生きていくと約束する2人だったが、17歳の夏、ハウンに恋人ジヌができたことで少しずつ気持ちがすれ違っていく。そんな中、ミソは済州島を離れてソウルで暮らすことを決意。しかし、ソウルでの暮らしは精神的にも肉体的にも過酷だった。生きていくだけで必死な日々を過ごしていたミソだが、ハウンには絵の勉強をしながら旅をしていると嘘の手紙を送っていた。それから5年が経ち、再会を果たした2人は、釜山旅行に出掛ける。久しぶりに2人で過ごす時間に気持ちが昂るも、価値観の違いによって大喧嘩に。それを機に、疎遠になっていた16年目のある日、ハウンは忽然と姿を消した。2人だけの“秘密”を残して…。


ー今作は『ソウルメイト/七月と安生』(デレク・ツァンによる単独監督デビュー作)のリメイクですが、韓国の作品として作り上げるうえで舞台を済州島に選んだ理由をお伺いしたいです。

中国が背景の『ソウルメイト/七月と安生』という原作では、大親友の2人が成長してそれぞれ都市に移り住み、離れ離れになるという物理的な距離感が描かれていました。でもそれは、中国という広い土地があったからこそ“距離”というものが上手く表現されていたと思うんです。そのことを韓国に置き換えたとき、どう表現しようかと考え、2人の距離を表すためにも、ソウルから離れた場所の一つとして最南にある済州島をロケ地に選びました。

ミン・ヨングン監督
© 2023 CLIMAX STUDIO, INC & STUDIO&NEW. ALL RIGHTS RESERVED.

ーそうだったんですね。済州島の景色がとても美しくて、作品の儚さをより表しているなと感じました。

その他の理由としては、前半のストーリーの背景となる場所と、後半で描かれるストーリーの背景となる場所の対比を描きたいと思ったからです。後半では、殺伐とした都市的な背景の中で2人がお互いを想うシーンを描いています。追憶の思い出の場所は都市よりも自然を感じられる場所にしたいという想いがありました。

また、10代後半の時間を描くには、私の中で夏が似合うイメージがあったんです。なので、「済州島の夏の森、海」というキーワードを持って、撮影に挑みました。

© 2023 CLIMAX STUDIO, INC & STUDIO&NEW. ALL RIGHTS RESERVED.

ーミソ(キム・ダミ)とハウン(チョン・ソニ)の関係を見ていて、周りの環境や歳を重ねて価値観が変化しても、他人を思い続けることの尊さを実感しました。

人は生きていく中で、さまざまな人と出会います。ですが、今作はたった一人だけが持っているその人だからこその重要性について描いた作品なんです。

最近は時代が変わり、SNSなどを通じて出会う人の数は以前よりもはるかに増えていると思います。でも、1人のことを深く知っていく関係性はどんどん薄れていっているように感じていて……。なのでこの物語では、自分の人生の中で自分のことを理解してくれるたった1人の人について描きました。

© 2023 CLIMAX STUDIO, INC & STUDIO&NEW. ALL RIGHTS RESERVED.

ーその関係は、2人の間に流れている空気や、言葉にしないところからも伝わってきました。そういったシーンを撮るために、演出など注力したところがあれば教えていただけますか?

映画は情報の伝達よりもそこに漂う空気の流れや微妙なニュアンスなどを、小さな動きによって伝えていける媒体だと思うんです。なので、撮影をしているときも、“テイクごとにニュアンスを変えてほしい”ということを俳優のみなさんに伝え、ニュアンスを変えることで、どのような違いが生まれてくるのか、どのような感情の変化があるのかという話をたくさんしました。

編集をしている時も、テイクごとに異なるニュアンスをどう繋げていくか、シーンの配置次第でも感情の流れが変わることに気が付いたんです。その中にある微妙な表現や表情、それらを繋げていくことによって変わっていく感情の流れを、どのようなバランスやレベルで調整していくのかを考えながら作り上げていきました。

© 2023 CLIMAX STUDIO, INC & STUDIO&NEW. ALL RIGHTS RESERVED.

ーハウンがジヌの似顔絵を描くシーンの、ハウンの目線がとても印象に残りました。このシーンはどのように撮影されたのでしょうか?

シナリオを書いているときから、ハウンの表情のイメージが自分の中にありました。それ以前のハウンは、親の言うことをよく聞く従順な子供で、自分の感情を表にあまり出すことがなかったんです。

誰にでも、好きなことや何かに夢中になっている人が持つエネルギーやオーラというものがあります。チョン・ソニさんにはそれを極大化して、なるべく最大限引き出してほしい、そして、絵を描く時だけは自分の好きなことに向かっていく強さを表現してほしいとお伝えしました。実際にそのシーンを撮った後、ジヌを演じたピョン・ウソクさんは「ハウンの眼差しに吸い込まれ、圧倒されました」とお話しされていました。

© 2023 CLIMAX STUDIO, INC & STUDIO&NEW. ALL RIGHTS RESERVED.

ー最後に、監督は今まで野外で映画をご覧になったことはありますか?

はい、あります。私が執行委員長をしている、韓国の江陵(カンヌン)市の正東津(チョンドンジン)の小学校の運動場で開催される「正東津独立映画祭」という映画祭があるんです。その映画祭で毎年野外で映画を観ることが、私の夏の恒例になっています。


忽然と姿を消したかつての親友出会い、想い合い、すれ違った16年絶望を希望に変えた
〈2人だけの秘密〉に心が震える友情物語『ソウルメイト』


配給:クロックワークス
公式X(旧Twitter):@soulmatejp
公式サイト:https://klockworx-asia.com/soulmatejp/
© 2023 CLIMAX STUDIO, INC & STUDIO&NEW. ALL RIGHTS RESERVED.

interview&text :reikahidaka

一覧に戻る

Pick up

Magazine Top