STORY
Do it Story01Shinagawa Open Theaterのこれまでと、これから
品川シーズンテラスは、3.5ヘクタールの広大な芝生広場がビルと一体に整備されている地上32階、地下1階のオフィス・商業複合ビルです。Do it Theaterは2015年からこの場所で、シネマイベント『品川オープンシアター』のプロデュースとディレクションを行ってきました。
大都会のビル群を背景に芝生の上で映画を観られる特別なシアターイベントは、回を重ねるごとに人気を集め、現在は品川港南エリアを代表するイベントに成長しています。
この『品川オープンシアター』の物語を、運営の中心を担ってきたNTTアーバンソリューションズの内山武士さま、品川シーズンテラスの重田廣行さま、渡辺宏紀さまと振り返りました。
左:渡辺宏紀さま 品川シーズンテラス株式会社 管理部 商業部門 担当課長
中央:重田廣行さま 品川シーズンテラス株式会社 管理部長
右:内山武士さま NTTアーバンソリューションズ株式会社 街づくり推進本部 エリアマネジメント推進室 担当部長
【目次】
・品川オープンシアターを始めた理由
・Do it Theaterとのイベントづくり
・イベントが品川港南エリアにもたらした効果
・これからの目標
02品川オープンシアターを始めた理由
――まずは品川オープンシアターを始められた経緯を教えてください。
内山 品川シーズンテラスは、単なるオフィスビルとして開発されただけではなく、「エリアマネジメント」も目的の1つとして建てられている施設です。
この港南エリアはもともとエンタメ要素の乏しい街で、ワーカーは10万人以上いるのですが、ただ働きに来て、ただ帰ってしまう場所でした。食肉市場や水処理再生場のイメージも強く、わざわざ目的を持って誰かが遊びに来る街ではなかったんです。
そのイメージを根底から変えて、ワーカーにとっても、住民にとっても、“楽しく、にぎわいのある場所”にするために私たちのエリアマネジメントが始まり、その中の施策の1つが品川オープンシアターでした。
――品川オープンシアターは2015年から全部で11回行っていますが、イベントの特徴はどんなところにあると思いますか?
内山 私は品川オープンシアターを、単純な野外映画イベントではないと思っています。スクリーンを立てて、プロジェクターがあれば映画は上映できますが、そういうレベル感ではないんですよね。
世界観にこだわっていて、例えばレッドカーペットや入門ゲート、キッチンカーやステージアクトなど、映画の前後にもわくわくさせる楽しみがたくさんあります。
渡辺 内山が言うように、ここは映画だけではないんですよね。例えば『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を上映したときは、時計台やデロリアンを装飾として置くことで、会場に映画の世界観を展開しました。こうした世界観をファンが喜び、当日はドクやマーティンの仮装をして楽しむ人もたくさん来場されるなど、ただの映画館とは異なるエンターテインメントをつくれているのが、品川オープンシアターの特徴だと思います。
内山 イベント当日の会場には、作品のファンの人もいれば、飲食を楽しんでいる人もいるし、カップルもいる。広場の後方では子どもたちが遊んでいたりと、フェスのように色々な楽しみ方が成立しているんですね。
我々はエリアマネジメントのコンセプトの1つに、誰でも自由に参加できる“オープネス”を掲げているのですが、まさにその“オープネス”を体現したイベントになっていると思います。
品川シーズンテラスのエリアマネジメントのコンセプト
――初回から全11回の中で、イベントはどのように進化してきたのでしょうか?
渡辺 Vol.1の『かいじゅうたちのいるところ』を上映した時は、まだ手探りでした。映画の世界観を会場内で展開するには難しい作品だったこともあり、お客さんもまだ少なかったです。
内山 そうでしたね。ただ、当時から日中のコンテンツは用意して、一日中楽しめるイベントにしようとはしていました。子どもたちに映像制作のワークショップを開いて、その映像をオープニングムービーとして流すことも行いました。
渡辺 あれは子どもたちがすごく楽しんでいたのを覚えています。Vol.2の『ゴーストバスターズ』からは、作品の世界観を芝生広場で再現するようになって、今の盛り上がりに繋がるものが生まれ始めました。ハロウィンイベントとも連携していたので、仮装で来る気合の入った人たちもあらわれました。
内山 そこからVol.3の『ジュラシック・ワールド』では、広場がびっしり埋まるほど人が来て、完全に手ごたえをつかみました。上映後に、来場者のみなさんが拍手するようになったのもこの辺りでしたけど、鳥肌が立つほど嬉しかったです。やはり定期的に開催することが、「映画がある街」として認知されていく上で大切なのだと思いました。
03Do it Theaterとのイベントづくり
――私たちはご縁をいただき、このイベントのプロデュースに初回から携わらせていただいております。Do it Theaterの印象も教えていただけますか。
内山 やはり世界観づくりが特徴的だと思います。会場美術、演出、音響、ライティングとどれをとってもクオリティが高い。
Do it Theaterさんの名前にある「Theater」の意味は、「映画」ではなくて、「舞台」という意味だと思います。空間美術も、コンテンツも、全てで会場に一体感のある1つの「舞台」をつくってくださる。それによって、品川オープンシアターというイベントに価値が生まれていると思います。
重田 私はVol.9の『レディ・プレイヤー1』から運営に入らせていただいたのですが、当然ですけど、僕らにはないものを持っているといつも感じています。発想も豊かだし、エリアマネジメントの目的も正しく理解した上で、にぎわいをつくるアイディアを一緒に考えてくれるのが大変ありがたいです。
内山 それと、一緒に仕事をする上でも、やりやすさを感じています。私は受発注みたいな関係性で仕事をするのがあまり好きではないのですが、その点Do it Theaterさんは、映画選定でも、映画以外のコンテンツでも、一緒にチームとなって考え続けてくださる。ただお任せするだけではないのでこちらの稼働も増えますけど、楽しいから全く面倒には感じないですね。
04イベントが品川港南エリアにもたらした効果
――我々も、毎回楽しくやらせていただいてます! エリアマネジメントの効果についても教えていただけますか。
渡辺 手ごたえは相当感じています。私が品川シーズンテラスに勤めているというと、全く違うエリアの人間から「野外映画をやっているよね!」と言われることがあるんです。このビル単体としてのイメージアップにも繋がっているし、「もしかしたら港南って面白いエリアなんじゃないの?」というブランディングにもなっているので、とてもいいことだと思いますね。
重田 渡辺が言うように、地域住民にとっての楽しみにもなっていますし、ワーカーさんにも「このビルで仕事ができて良かった」と思っていただけるものになっていると感じます。誰かが遊びに来るなんて考えられなかった港南エリアに、このイベントのためにわざわざ足を運ぶ方がたくさんいてくださる。このエリアの認知やイメージアップに間違いなくつながりました。
内山 映画館は山ほどありますけど、この規模で整備されている芝生の上で映画を観られて、毎年バージョンアップしていく映画イベントは他にないと思います。そういうエンターテインメントがこの街にあることを、市民の方やワーカーさんが誇りに思っていただけるようになっていると思いますね。
05これからの目標
――これからの品川オープンシアターについては、どんな展開を考えていますか?
渡辺 なかなか実現は難しいのですが、品川シーズンテラスだけではなく、港南の街全体を巻き込んだ映画のイベントができたらいいなと思っています。港南エリアにはソニーさんやキャノンさんなど、映像系の企業もいらっしゃるので、そういう企業を巻き込んだイベントにしても楽しいのではないかと思っています。
内山 イベントの規模を大きくして、「港南映画祭」はぜひやりたいですよね! 天王洲や品川インターシティさんでも映画イベントをやられているので、連携して何かできたらと思います。
重田 そうですね。品川シーズンテラスだけに人がたくさん来るのではなく、それを港南エリア全体や高輪エリアなどにも広げられたら、エリアマネジメントとしてさらに意味のあるものになると考えています。
――品川オープンシアターがハブになって、「街や企業をつないでいく」ということが、これから起きそうな気がいたします。今後、Do it Theaterに求めることはなにかありますか?
渡辺 運営や企画についてはなんの不満もないので、ここから先は、このイベントをさらに大きなものにしていくために、いろんなアイデアをお貸しいただけると嬉しいです。
重田 品川オープンシアターは人気を得られていて、すでに完成した1つのコンテンツにはなっています。ただこれからも常に進化をしていきたいので、一緒にそれをやっていきましょうということですね。見限らないでほしいと思います(笑)。
――こちらこそです(笑)。
内山 私は異動に伴って、現在は品川オープンシアターの運営に関わっていませんが、Do it Theaterさんとは別の場面でまた一緒に仕事をしようと話しています。本当に引き出しのたくさんある方たちなので、その引き出しを引っ張り出して、これからも一緒に楽しみながら、面白い企画を生み出して行ければと思っています。
――『品川オープンシアター』は、Do it Theaterとしても初めて野外シアターを行った思い入れの深いイベントです。皆様のように熱量が高い方々とイベントをつくることに喜びを感じていますので、ぜひ今後もエリアマネジメントにご協力させていただければと思います。本日は貴重なお話をありがとうございました!
品川オープンシアターVol.1〜Vol.11 ポスタービジュアル