STORY
Do it Story01横浜エリア全体をシネマで盛り上げる!
Do it Theaterが2018年からプロデュースとディレクションを行うシネマイベント『SEASIDE CINEMA』。
2019年に野外シアターイベントとしては世界最大規模となる1万人の集客を横浜赤レンガ倉庫で達成。また2021年には、「横浜赤レンガ倉庫」「MARINE & WALK YOKOHAMA」「横浜ハンマーヘッド」「横浜ベイクォーター」「マリーンルージュ・シーバス」の5か所の施設で開催される、大規模イベントに成長しました。
瞬く間に横浜エリア全体に展開するイベントとなった『SEASIDE CINEMA』。その“今まで”と“これから”のストーリーを、イベントの中心を担う、横浜赤レンガ倉庫の小林康一郎さまと本多康介さまにお伺いしてきました。
左:小林康一郎さま 株式会社横浜赤レンガ イベント事業部リーダー
右:本多康介さま 株式会社横浜赤レンガ イベント事業部イベント担当マネージャー
【目次】
・野外シアターイベントの始まり
・2018年の『SEASIDE CINEMA』
・2019年 野外シアターとして世界最大規模の1万人の集客を達成
・2021年 横浜エリア全体への拡大
・『SEASIDE CINEMA』で嬉しかったこと
・今後の展望とDo it Theaterに期待すること
02野外シアターイベントの始まり
――最初に、横浜赤レンガ倉庫さんが、シネマイベントを始めることになったきっかけを教えていただけますか?
小林さま(以下敬称略):野外シネマイベントは、2017年秋に初めて実施しました。目的は、無料シネマイベントで賑わいを生み出すことで、同時開催していた「横浜オクトーバーフェスト」というビールのイベントにもお客様に来ていただくこと。
実際にやってみると多くの人が訪れ、野外シネマの需要は、想像よりも大きいことが分かりました。映画は個人的にも大好きなコンテンツなので、引き続き継続したイベントにしていきたいと考え、今後パートナーとなってくれる会社を探し始めました。
――それがDo it Theater だったと。なぜ我々を選んでいただけたのでしょうか。
小林:ネットで事業者を調べていた時に、Do it Theaterさんがプロデュースしている品川オープンシアターを見つけました。このイベントの世界観がとても素敵だった。映画を流すだけなら、できる会社は沢山あると思いますが、できれば世界観をこだわってつくっている人達と一緒にやりたいと思い、ご連絡させていただきました。
――横浜赤レンガ倉庫さんのことはもちろん知っていたので、ご連絡をいただいて物凄く嬉しかったことを覚えています。
小林:中目黒のオフィスでお話させていただいて、すぐにここしかないと思いました。他の会社にもヒアリングをしていましたが、雰囲気や、話している内容、熱量の高さなどがとても良く、一緒に仕事をしたら楽しそうだなと思えました。
それに我々は、この頃から映画のイベントを継続的に続けて、横浜エリア全体を巻き込んだシネマイベントにすることを構想していたので、シアターを軸にしたエリア活性のプロデュースも行っているDo it Theaterさんなら間違いないと思いました。
――照れてしまいます。その話し合いが確か、2017年の年末でした。そこから2018年のGWのイベントに向けた準備が始まりましたね。
小林:そうですね。普通はもう少し準備期間があるのですが、急ピッチで頑張って間に合わせていただきました。
032018年の『SEASIDE CINEMA』
初めて横浜赤レンガ倉庫のシアタープロデュースを行った2018年。MARINE & WALK YOKOHAMAで行われていたイベント、『SEASIDE CINEMA』と合体して、共同開催の1つのシアターイベントにすることを提案しました。
――この年からお隣の商業施設であるMARINE & WALK YOKOHAMAさんで行われていた『SEASIDE CINEMA』と合体して、共同開催の1つのシアターイベントになりました。街づくりの観点では、そのほうがエリア活性につながりやすいのですが、我々が1つのイベントにすることを提案した時は、どう感じましたか?
小林:イベントとしてのフレームが変わることは、何の抵抗もありませんでした。当時MARINE & WALK YOKOHAMAさんとは、お互いの施設間の回遊策について話し合っていました。1つのイベントにすることで、それが可能になり、この辺り一帯のエリアが活性化すると思いました。
――Do it Theaterとは、初めて一緒にイベント制作を行うことになりましたが、率直な感想はいかがでしたか。
小林:凄くやりやすかったです。私たちはお付き合いのある業者さんがたくさんいますが、そうした方々と比べても、かゆいところに手が届くのがDo it Theaterさんだと思いました。「これが欲しいな」「こんなものがあったらいいのにな」と思っていると、なんでもオートマチックに提案してくださるので助かりましたね。
――我々も様々なクリエイティブの提案を前向きに受け入れていただけて、楽しく制作ができたことを覚えています。イベントの成果はどうだったのでしょうか。
小林:この時のイベントの目的も、同時開催していたドイツの春祭りを再現したイベント「ヨコハマフリューリングスフェスト」の魅力をアップすることが狙いでした。その目的は十分に達成できたと思います。お互いのイベントの相乗効果で、前年を上回る来館者数を記録しました。
042019年 野外シアターとして世界最大規模の1万人の集客を達成
2019年も前年同様、GWに横浜赤レンガ倉庫とMARINE & WALK YOKOHAMAの2か所同時開催で行いました。この年からはMARINE & WALK YOKOHAMAのイベントプロデュースもDo it Theaterが担当することになり、本格的にエリアマネジメントを目的としてイベントを開催できるようになりました。横浜赤レンガ倉庫では5日間にわたって、“スタジオ地図”の作品を上映。最終日の『未来のミライ』の上映では、およそ1万人のお客様にご来場いただきました。
――2019年も継続して、横浜赤レンガ倉庫さんのシアタープロデュースをさせていただきました。また、MARINE & WALK YOKOHAMAさんのシアタープロデュースもDo it Theaterが担当させていただくことになりましたね。
小林:我々としては2018年の『SEASIDE CINEMA』がお客様から好評で、一緒に仕事もしやすかったので、引き続きDo it Theaterさん以外の選択肢はありませんでした。MARINE & WALK YOKOHAMAさんは、前年の横浜赤レンガ倉庫のイベントのクオリティーを見て、「来年はぜひDo it Theaterさんにお願いしたい」と思ったようです。そこで我々がご紹介させていただきました。
――我々としては、両施設とも任せていただけるようになったことで、エリアのプロデュースを行いやすくなりました。お互いの施設の回遊性を高めるために、誘導線も作らせていただきましたね。
小林:映画を上映している時間以外に、お客様に行ったり来たりしてもらえる導線があるといいねという話になり、Do it Theaterさんに作っていただきました。光の道のご提案をいただいた時は、「ああいいな」と思いましたね。実際のイベントでも、その道を通られるお客様が多かったです。
横浜赤レンガ倉庫とMARINE & WALK YOKOHAMAをつなぐ光の道
――この年は、それぞれの施設の個性を立たせようとも思っていました。上映作品の選定でも、各施設のブランディングやターゲット層などを考えて、テーマを決めました。横浜赤レンガ倉庫さんは、外国人観光客やファミリー層が多いので「アニメ」をテーマにし、MARINE & WALK YOKOHAMAさんはカルチャー色が強いので「ミニシアター」をテーマにしました。
小林:やっぱりDo it Theaterさんに選んでいただいた作品も良かったですよね。僕も元々スタジオ地図さんが好きだったので、ご提案いただいた時には「赤レンガでやるならこれしかない」と思いました。まあ、ミニシアターも好きなんですけどね(笑)。
――(笑)。この年は、最終日に横浜赤レンガ倉庫に1万人のお客様が集まりました。野外イベントとしては世界最大規模の集客だったと思います。
小林:そうですね。赤レンガでも1万人が一気に集まるというイベントはそんなにないんです。1万人というのは本当に素晴らしい成績でした。
052021年 横浜エリア全体への拡大
コロナで中止となった2020年を挟み、2年ぶりの開催となった21年の『SEASIDE CINEMA』は、「横浜ハンマーヘッド」「横浜ベイクォーター」「マリーンルージュ・シーバス」の3か所の施設が新たにイベントに加わり、5か所で同時開催されることとなりました。これにより横浜エリアを広く活性化するイベントに進化。国内最大規模のシアターフェスが誕生しました。
――20年はコロナで中止になってしまいましたが、21年は、一気に5か所の施設で開催することになりました。これはどういった経緯で5か所に拡大したのでしょうか。
本多さま(以下敬称略):まず20年の時に、ベイクォーターさんがご連絡をくださったんです。ベイクォーターさんは元々、自分たちでもシネマイベントをやられていたのですが、『SEASIDE CINEMA』を知って、「是非一緒にやりたい」と。一緒にやるなら運営も同じ団体に任せたほうが良いということで、Do it Theaterさんを紹介させていただきました。
小林:21年はその流れで、3か所で開催することは初めから決まっていました。「なんなら、もう少し増やそうか」ということで、我々からお声がけをしてハンマーヘッドさんとマリーンルージュ・シーバスの運航会社であるポートサービスさんもご参加いただくことになりました。
――5か所になったことで面が一気に広がり、最初に構想していた横浜エリア全体をシネマで活性化させるイベントが実現しました。
小林:我々は横浜赤レンガ倉庫を中心に横浜エリア全体を盛り上げたいと思っています。そのため、上から目線でもなんでもなく、是非色々な施設にも加わってほしい。そうやって輪が広がっていって、イベント全体が盛り上がってくれればいいなと思っています。
本多:今回参加いただいた各施設さんも、エリア連携や横浜全体の活性化の必要性は強く感じていらっしゃいました。皆さん、シアターイベントに興味も持たれていたので、『SEASIDE CINEMA』への参加を呼びかけたら、すぐに前向きな反応を得ることができましたね。
――我々としても、それぞれの施設のブランディングを考えたシアタープロデュースができて、非常にやりがいがありました。これだけ面が広いイベントを横浜赤レンガ倉庫さんが幹事となって行ったことは今までにもあったのですか?
本多:リアルなイベントをこれだけの規模で開催するのは、我々としても初めてでした。そういう意味でも最初の一歩として踏み出すことができて良かったと思います。
――イベント終了後の各施設さまの反応はいかがでしたか?
本多:「一緒にできて良かった」「引き続き今後もやっていきたい」という意見は各施設の皆さんも一致していましたね。今回はまだまだ回遊性や連携の部分で課題は見られましたが、ひとまず無事にみんなでできたことが、これからの横浜エリア全体の活性化において、大きいことだったかなと思います。
――この2021年に横浜赤レンガ倉庫では、新しい試みとしてドライブインシアターを運営させていただきました。
本多:今までは、無料の野外シネマイベントとして行ってきましたが、この年はゴールデンウィークの恒例イベント「ヨコハマフリューリングスフェスト」の開催がコロナ禍で困難だったため、初めて有料イベントとしてドライブインシアターを実施していただきました。正直当事者としては、チケットが売れるかが不安でしたね。でもDo it Theaterさんは「大丈夫だと思いますよ」ってずっとおっしゃっていました(笑)。蓋を開けて見たら、チケットは全日完売で安心しました。
――絶対に売れると思っていました(笑)。横浜赤レンガ倉庫さんでドライブインシアターが見れるなんて、そんな最高のシチュエーションはないですからね。
本多:チケット代はそんなに安くなかったのですが、ロケーションや空間の非日常感みたいなところに、お客様は価値を見出していただけたのだと思います。それは来年以降にも繋がる発見でしたね。
21年に横浜赤レンガ倉庫で行ったドライブインシアター
06『SEASIDE CINEMA』で嬉しかったこと
――横浜赤レンガ倉庫さんが今まで『SEASIDE CINEMA』を実施してきて、嬉しかったことは何ですか?
本多:私はイベントの写真を撮っていた時に、お客様が楽しんでいる表情が伝わってきたのが嬉しかったですね。やっぱりお客様に喜んでいただけていることが、イベントでは一番大切ですから。
小林:そうですね。あんな大画面で映画が見られる楽しみを、お客様に提供できていることが、本当に嬉しいです。あと、21年のドライブインシアターの時に、協力会社の人たちがイベントに来てくれたのは嬉しかったですね。イベントを一緒に作った施工会社さんなどが、家族を連れて遊びに来ていて、「凄い良かった」と言ってくれた。「家族に誇れるものをつくった」と思ったから、来てくれたわけですよね。そのことが分かって、嬉しくなりました。
07今後の展望とDo it Theaterに期待すること
――ここまで拡大してきた『SEASIDE CINEMA』ですが、今後どういうイベントにしていきたいか、横浜赤レンガ倉庫さんの構想はありますか。
小林:引き続き、お客様が映像を目的に、横浜エリアに足を運んでくれるイベントにすることが目標です。映画祭になっていくのか、サウス・バイ・サウスウエストのようなイベントになっていくのかはまだ未定ですが、ある特定の期間に、横浜中が映像作品を見られる機会で溢れる状況をつくりだしたいと思っています。
――我々も全く同じ考えです。横浜エリアは人を集客できる場所が沢山あってインフラが整っているので、今後も拡大していく可能性は大いにあると思います。サウス・バイも最初は小さなライブイベントだったので、ああいう風に広がって行ければいいですよね。最後に、今後Do it Theaterに期待することを教えていただけますでしょうか。
本多:私はクリエイティブの面で、これからも自分たちにないものを補完していただきたいですね。やっぱり世界観づくりやイベントの作り込みの部分は、Do it Theaterの強みだと思うし、見ていて凄いなと思うので、今後もサポートしていただければ助かります。
小林:私はこれからも変わらないでほしいと思いますね(笑)。引き続き相談しやすい人であってほしいです。イベントは、本人たちが楽しんでいることが前提にないと続けられないと思いますし、会議をしていても楽しい方がいいじゃないですか。こういう雑談の中で新しい企画が生まれてきたりもするので、妙に形式ばらずに、変わらないでいただけると、今後もやりやすいです。
――かしこまりました!来年以降もプロデュースとクリエイティブの両面で、『SEASIDE CINEMA』のお手伝いができればと思っております。本日は貴重なお話をありがとうございました!
ライター:前多勇太