STORY
Do it Story2020年12⽉25⽇~27日に開催した『ドライブインシアター2020 meets KINTO』は、横須賀市から依頼を受け、市を盛り上げるためのイベントとして実施されました。
このイベントで使用した会場は、もともと草の生い茂った広大な空き地。私たちはその土地を整地し、“ゼロから会場をつくり出す”ことに挑戦しました。
Do it Theaterにとっても、新しい取り組みとなった『ドライブインシアター2020 meets KINTO』。そのストーリーを、イベントを企画した、横須賀市文化スポーツ観光部観光課の関山篤さまと小山田絵里子さまとお話してきました。
左:関山篤さま 横須賀市文化スポーツ観光部観光課 サブカルチャー担当主任
右:小山田絵里子さま 横須賀市文化スポーツ観光部観光課 サブカルチャー担当
【目次】
・なぜDo it Theaterにイベントを依頼したのか
・草刈りからはじまった会場づくり
・横須賀市に新しいエリア連携が生まれた
・世界観づくりがDo it Theaterの強み
・行政が民間事業者と組む意味
01なぜDo it Theaterにイベントを依頼したのか
――最初に、横須賀市さまがドライブインシアターに興味を持ったきっかけを教えていただけますか?
小山田さま(以下敬称略):きっかけはコロナウイルスです。2020年の春ごろ、コロナの影響で観光課ができることが何もなくなってしまいました。その中で、コロナ禍でも安全に運営できるドライブインシアターというイベントがあることを知り、興味を持ちました。
そしてドライブインシアターを行う事業者さまをネットで検索し、見つけた中の1つがDo it Theaterさんでした。
――ドライブインシアターを行う事業者は複数存在する中で、最終的にDo it Theaterにご依頼いただけた理由はなんだったのでしょうか。
小山田:他にもいくつかの事業者さまとお話しましたが、ドライブインシアターを本業で行う方たちは意外と少ないことが分かりました。また、企画から当日の運営まで全てをトータルでプロデュースできる方たちとなると、Do it Theaterさんしか考えられませんでした。
関山さま(以下敬称略):探しているのは、スクリーンの設営ができる事業者ではなく、イベントを主体的につくってくださる方たちでした。私たちはドライブインシアターに対しての知識が全くないので、コンセプトから一緒に考えて欲しかったんです。その点、Do it Theaterさんは小山田の言う通り、運営だけでなく企画から全てを任せることができました。「こういう作品を流したら面白いのでは?」とか、「この場所なら、こっちにスクリーンを設置した方が見晴らしがいいのでは?」、「横須賀ならこういう演出や世界観ができるのでは?」など、企画から主体的に提案してくださるのが非常に助かりました。
――テクニカルな部分だけを担当する“ドライブインシアター屋”にはならずに、コンセプトから提案していくことは大切していることなので、そう言っていただけると嬉しいです。
小山田:また、コンセプトだけでなく「お金がいくらかかるか」とか、「どのくらいのスペースが必要か」などの的確な情報も、初期の段階で提示してくださり、とてもありがたかったです。そのおかげで、こちらも動きやすくなり、ドライブインシアターが開催できる場所を横須賀市内で探しはじめることができました。
02草刈りからはじまった会場づくり
イベントが行われた空間の整地前の様子。この状態から草を刈り、発電機を引き、ゼロからシアター空間の制作をはじめていきました。
――今回のイベントが行われたソレイユの丘という土地について改めて教えてください。
関山:ソレイユの丘は、横須賀市の西側にある体験型総合公園です。正式名称は「長井海の手公園 ソレイユの丘」で、収穫体験ができたり、動物と触れ合えたりとファミリー層に人気がある地域です。
――最初はそのソレイユの丘の駐車場でドライブインシアターを行う予定でした。しかし、駐車場の真ん中に木が生えていたりして、開催するには難しい環境だと分かりましたよね。
関山:そうですね。また、駐車場は強い風が吹き抜けるため、スクリーンの設置が困難だという問題もありました。そこで、公園の中にあった3ヘクタールの空き地をお見せしました。
――「向こうはどうですか」とおっしゃられたので、見に行くと広大な草原が広がっていました。その時にフロンティアスピリッツを刺激され、「ここだな」と思いました(笑)。
小山田:草が生い茂っていましたよね(笑)。腰の高さぐらいまで生えていて、それをどう刈るかという話になりました。本当に大変だったと思います。
関山:元々は国の土地だったんですけど、払い下げられてから丸何年も放置されていたので、簡単に抜けない草がざわわ状態になっていました(笑)。しかも3ヘクタールもあるので「どうしよう?」と思ったんですが、Do it Theaterさんが急ピッチで刈ってくださいました。
――横須賀市内の業者さまと一緒に草を刈らせていただきました。私たちも荒れ地を整備するのは初めての体験で、シアター空間をゼロからつくる貴重な学びを得ることができました。ソレイユの丘を管理する西武造園さまにも、大変お世話になりましたね。
関山:空き地の草を全て刈るのではなく、車を入れる範囲だけを刈って、あえて非日常の雰囲気を出す会場づくりをされていたのも非常に良かったです。この時点で既に世界観を考えられているのだと思いました。
整地後、イベント前には地鎮祭を行いました。地元の熊野神社さまにご協力いただき、土地の神様にご挨拶をして、イベントの成功を祈りました。
03横須賀市に新しいエリア連携が生まれた
――整地以外にDo it Theaterと共にイベントづくりをしていく中で、抱いた印象はありますか?
関山:一番は寄り添ってくださるということです。このイベントに当たって市内業者さまと連携することも多かったのですが、どの打ち合わせにも顔を出してくださいました。市内業者さまからの質問にも、ドライブインシアターのプロとして何でも答えてくださるので、これほど心強いものはなかったです。
――横須賀市さまが色々な企業さまと繋いでくださったので、私たちもありがたかったです。イベントを通してエリアを活性化させたいと思っているので、いかに地域の方々を巻き込むかは常に考えていました。
関山:実際に、このイベントをきっかけに生まれたエリア活性の動きは多かったんです。例えば横須賀市内でガソリンスタンドなどを運営する湘南菱油さまなど、市内業者の方から「イベントをサポートしたい」と声をかけてくださることもあって、とても嬉しく思いました。
――湘南菱油さまは本当に熱くイベントを支援してくださいましたね。私たちもそうした思いを受けて、会場周辺の魅力ある場所を紹介する「横須賀小旅行のデジタルしおり」をつくったり、市内業者さま協賛のビンゴ大会を上映前に行ったり、地域を盛り上げる施策も複数企画させていただきました。
関山:エリアを盛り上げる、横須賀を活性化させるというのは私たちの仕事の主軸ですから、そうした企画も非常にありがたかったです。
デジタルしおりの画像
04世界観づくりがDo it Theaterの強み
――他にもDo it Theaterとのイベントづくりで感じたことはありますか?
小山田:やはり世界観づくりが秀逸だと思いました。デザインセンスが本当に良いなと。例えば、スタッフが着用する衣服やイベントに来場するともらえるステッカー、会場に立っている看板など、視界に入る物をこだわってつくりこんでいることに好感を持ちました。そういうところは細かいところですけど、絶対にお客様の顧客体験に関わるでしょうし、そういう体験をしたのが横須賀市であれば、この街を好きになってくれるきっかけにもなると思います。
関山:実際にイベントでも多くの方が写真を撮っていましたね。会場や看板、スクリーンなど楽しそうに写真を撮っている人が多いなと思いました。
――目に映る物の世界観をつくりこむことは、まさに大切にしているところです。思い出があると、人はその場所を大切な場所だと認識するようになるので、できるだけ記憶に残るパーツを増やすことを意識しています。
小山田:本当につくるものが全てオシャレでかわいいんです。イベントでは横須賀市の企画として、地元産の横須賀野菜をお客様に販売しましたが、その野菜を詰める段ボールのデザインをDo it Theaterさんにお願いしたら、本当に素敵なデザインでつくってくださいました。こういうのも無地の段ボールでお渡しするのと、全く印象が異なると思います。
05行政が民間事業者と組む意味
――イベントの成果についても教えていただけますか。
関山:若い方たちに横須賀の魅力を訴求したいという課題がある中で、そういう方たちが多く来場してくださったのは1つの成果だったと思います。来場する車の中には、普段横須賀市に来ないであろう品川ナンバーや茨城ナンバーなども見られました。わざわざ遠くから来たくなるイベントなんだと実感しましたし、若い子たちがたくさん写真を撮って、Instagramなどにあげていたのも嬉しかったです。
小山田:お父さんの車を借りてきたという若い方もいましたね。やはり世界観づくりがしっかりしていて、参加者のターゲットもはっきりさせているからこそ、若い方々が多く集まってくれたのだと思います。
また、横須賀市民の中にもコロナ禍のイベントを喜んでくれた方がいて、市民の誇りにつながる催しが出来て良かったと思いました。市役所内でもこのイベントが評価されて、グッドアクションアワードという賞を受賞しました。
――横須賀市さまのような行政の方々が、私たちのような民間事業者と組むことについては、いかがでしたか。
小山田:凝り固まらない提案をしてくれることがありがたいと思いました。今回も私たちが気づいていない横須賀の魅力や可能性を見出してくれて、新たなお客様の層を開拓できたことに驚きましたね。市役所の中にいる人間には思いもつかないターゲット層にリーチできましたし、街の価値が上がる実績がつくれたので、本当に手を組ませていただいてよかったと思います。
――ありがとうございます。逆に私たちは、横須賀市さまとの仕事がとてもやりやすかったです。様々な提案も、ほとんどNGなしで受け入れてくださったので驚きました。
小山田:やっぱりアイデアを持っている方たちの意見は、言われたら何とかしたいなと思いますよね。
関山:止める理由がないですね(笑)。
――横須賀市さまの、「街を盛り上げる」、「街の人に幸せになってほしい」という想いに強く共感できたので、一緒にイベントをつくりあげたいという感覚を常に持つことができました。最後の質問ですが、今後シアターイベントを開催する予定はあるのでしょうか。
小山田:やりたいですね!
関山:もちろん機会があればぜひやりたいなと思います。市役所内の他の部署からも地域イベントをやるのにDo it Theaterさんを紹介して欲しいという話も時折ありますし、また横須賀市を盛り上げるためにご一緒できたらと思います。
――かしこまりました。その際は是非よろしくお願いします。本日は貴重なお話をありがとうございました!
ライター:前多勇太
このイベントの取り組みは、モビリティ変革番組「モビエボ」で取材していただきました。Do it Theaterの登場は21:04秒からになります。
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タイトル:Do it Theater presents ドライブインシアター2020 meets KINTO
開催⽇時:2020年12⽉25⽇(⾦) 20時開演予定
12⽉26⽇(⼟)〜27⽇(⽇) 17時半開演予定
会場:Drive in Wonder Theater(神奈川県横須賀市⻑井4丁⽬⻑井海の⼿公園特設会場)
上映作品:
12⽉25⽇(⾦)『秒速5センチメートル』
12⽉26⽇(⼟)『時をかける少⼥』
12⽉27⽇(⽇)『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』
台数:想定180台/⽇
主催: Do it Theater(株式会社ハッチ)
協賛:株式会社KINTO、明治安田生命保険相互会社、ジャパンフリトレー株式会社
特別協⼒:三浦半島観光連絡協議会
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