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Do it Magazine01ヘッドドレスデザイナー・美容師のannaさんのシゴトとシネマ
映画との出会いはいつも偶然で、何気なく観た映画が、人生の一本になったりする。【シゴトとシネマ】では、仕事や生き方に影響を与えた、働くことの原動力になっている映画とエピソードを教えていただきます。今回は、ヘッドドレスデザイナー・美容師annaさんの人生を揺るがせた映画と、仕事への想いをご紹介。
02作品名
『アンダーグラウンド 完全版』
監督:エミール・クストリッツァ
03作品との出会い
『アンダーグラウンド』は、数年前に映画館でエミール・クストリッツァ特集がやっていて、その時に初めて観ました。私は映画好きな父の影響で、高校生の頃1日1本観る事を目標にしていました。父からは定期的に良い映画のDVDを渡され、今でもおねだりすると映画館のチケットが届きます(笑)。働き始めてから時間を作るのは難しくなりましたが、帰宅してから午前0時〜午前3時を独りの時間にし、出来る限り映画を観る時間を作っています。
04仕事とのリンク
初めてクストリッツァ監督の作品を観た時は、衝撃を受けました。こんなに自由な映画があるのかと。戦争中に地下に閉じ込めらて生活する人々と、地上にいる人々の2つの世界があって、地下にいる人々は地上はまだ戦争中だと信じ生活し続け、段々と2つの世界の間では時差が生まれていくんです。
これだけ聞くと暗い内容かなと思うのですが、最初から最後まで314分ずっと音楽が流れていて、楽しく描かれています。今まで観てきた映画とは違う不思議なものを感じました。314分あるので、2回目を観るのはいつになるか分からないですけど(笑)。
05作品から受けた影響
ざらついた質感、絵画のような装飾、音楽、私の中での映画の枠を越えた真実と自由さに影響を受けました。私自身、作るものや性格に勢いと思いっきりさが足りないなと常に思っていて、つい一点をみつめてしまうんです。
私は昔から音楽をやっているのですが、最近初めてjazzの曲に挑戦しています。jazzもそうです。クラシックのような楽譜、ルールがないので自由に弾いて良いんです!でもそれが私には難しくて…。
クストリッツァ監督(他にも衝撃的だったのはスタンリー・キューブリック監督も)のようなブレのない大胆さには色気も感じます。美容師、ヘッドドレス、音楽、映画。関係が無さそうで実は共通点があるんです。そしてこれら全ては、色々な面で自分を知ることができるアイテムになっています。
06映画によって解決された悩み
いつもどこかで“映画っぽい世界観”に憧れていて、サロンワーク内でのお客様への提案でも、実際に映画のワンシーンを意識することがあります。撮影でのヘアスタイルや衣装、ヘッドドレスのお花の色合いやバランスは、本作にも影響を受けました。特にウエディングでのオーダーを頂いた際は、本作の中でも大好きな結婚式のシーンを想像しながら作っています。
07作品の魅力
私は、誰かにほんの少しでもスパイスを与えられる女性を目指しています。『アンダーグラウンド 完全版』は、ひとりひとりそれぞれのタイムラインがあって、全員が主人公の物語です。
映画は人生を3倍楽しませてくれますよ!
08プロフィール
anna hayashi (はやし あんな)
美容師、ヘッドドレスデザイナー。
美容師をやりつつ、ドライフラワーでヘッドドレスを製作。
ひとりひとりと相談しウェディングやお着物に合わせオーダー制で予約承り中。
■Instagram
@annapruna_
@piccolo_____
09編集部より
今回は、美容師でありヘッドドレスデザイナーでもあるannaさんの働く代官山のおしゃれな美容室で撮影させていただきました。annaさんがセレクトした作品は、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した、エミリー・クストリッツァ監督の『アンダーグラウンド 完全版』。
好きな映画の話をする時のannaさんは本当にキラキラしていて、どんなに忙しくても、時間を作って定期的に映画を観る時間を作っているそうです。Instagramにもたくさん掲載されている素敵なヘッドドレスを作るときは、お客さんと相談しながらハンドメイドで作成しているそうで、『アンダーグラウンド 完全版』の世界観からも影響を受けているとのこと。今回の撮影のためにご用意いただいたヘッドドレスも色味やカタチがとても素敵で、モデルさんの髪型と服装にもマッチしていました。いつかぜひ、映画の中に出てくるannaさんのヘッドドレスを、スクリーンで観てみたいなと思いました。
text:Anna Hayashi
photo:Megumi Yamakoshi
edit:Sayaka Yabe